ロックンロールに蟀谷を

踊れないほうの阿呆。Twitter:@oika

Mogwaiの『Rock Action』を借りパクした話

 MogwaiRock Actionを借りパクした。

 「借り」たまま「パク」ると書くこの罪深い行為は、通例、何年経とうがこちらの一存で過去形にすることが許されぬものだと思うが、これに関してはもう過去形にしてしまうことにしたのだ。あとで書く。

 

 このアルバムを借してくれた彼、仮に堀君としておくが、彼とは、大学の軽音楽部で知り合った。

 話の流れ的に軽音学部の思い出話を少し。短い期間しか所属しなかった場所だけれど。

 この軽音部、入部直後の集会で、新入生らはいきなり「さあバンドを組め」と言われて、なんとなく趣味の合いそうな人同士でとにかくむりやりバンドを組まされるという、地獄のようなシステムだった。

 僕はレッチリのコピーバンドを、堀はシャカラビッツを歌いたいキラキラ女子ボーカルのバンドを組んだあとで、僕らは初めて会話をした。

 僕も堀もギタリストだった。

 ギターはアコギの弾き語りしかやったことないんやけどなwと語る堀のダミ声を聞いて、こいつはブルースなやつだと直感した僕は、もういっこ堀ボーカルでバンド組もうぜと誘って、他にそのへんで一緒にしゃべっていたテレキャスギタリストと、ドラマーになる予定の未経験者君を誘い、3Gt. & 1Dr.というクールなバンドを結成したのだった。

 ギター3人のバンドですと告げると、先輩らは口々に、誰かベースやれよとか、ボーカルは歌だけやれよとか、実に常識的なアドバイスをしてきたが、僕はむしろブルースなこの編成を気に入ったのでそれらを全無視した。

 結果的に僕の直感はドンピシャで、堀の叫ぶ不健康なブルースの魅力に先輩たちが気づくのにも時間はかからなかった。

 

 そんな堀とのバンドは楽しかったが、自分にはこの軽音楽部の文化がどうも肌に合わず、I'm paying the cost to be the bossと叫ぶ堀の声を聴きながらも、この小さなコミュニティの統率体制に耐えられなくなっていた。

 企画ライブに2,3回出たあとに、もういいかなと思って、ある夜、一人暮らしの不健康な堀の部屋に赴いて、辞めるわーと告げた。

 たいした反応を期待していなかったが、予想に反して堀は漢泣きし、俺の中のレイラも正座してしまうほどに驚いた。

 思えば、自分のために泣いてくれた友達は後にも先にも堀だけだ。

 

 モグワイのことを書こうと思って書き始めたら、堀の話ばかりになってしまった。

 Rock Actionは、いつだったかそんな堀に借りたアルバムだが、部を辞めてから返す機会を失っていた。

 僕が辞めた後も彼は軽音楽部に残り、最終的には見事にボスになっていたようだ。

 大学も卒業を控えた頃、堀と話す機会があって、そういやモグワイを借りてるんだよと言ってみたら、

 「持っててええよ、それを見たときに俺を思い出してくれるんやったら」

との答えが返ってきて、本当にこいつはブルースなやつだなと思ったのだった。

 

 「mogwaiのライブが最高という話」という素晴らしい記事を読んで、このアルバムのことを思い出すと同時に、まんまと堀のことを思い出してしまった。

 どこで何をやってるかしらないが、たまに連絡をとってみようか。

 

Rock Action

Rock Action