ロックンロールに蟀谷を

踊れないほうの阿呆。Twitter:@oika

アコースティックギターとラップ

 多感な時期をミクスチャーと呼ばれる音楽とともに過ごしたせいか、楽器演奏のグルーヴにのっかるラップというものがいまだに好きである。

 最近、その楽器の最小構成はなんだろうと考えたとき、ひとつの解は、1本のアコースティックギターではないかと思うようになった。

 そんなわけで、アコギ×ラップという構成のイケてるやつをいくつか。

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大森靖子『魔法が使えないなら死にたい』

 やっと入手できた、大森靖子の1stアルバム。良い。

 

 先にメジャーデビューアルバム(通算だと3枚目?)である『洗脳』は聴いてて、確かに彼女の巨大な魅力が見え隠れしているけど、まだまだCD音源での聴かせ方はこれからの課題で未完成かなと、そんな感想を抱いていた。

 大森靖子の本領はライブ。どこかのそんな評判を真に受けていたけれど、この1stを聴いて、とんでもない思い違いだと気づいた。

 なんだこれすげぇ良いじゃん。

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Bobby Enriquez「Hi-Fly」

 ボビー・エンリケは「野人」と呼ばれたジャズピアニストだ。1996年没。

 彼の名前は拳奏法、肘鉄奏法のような目立つパフォーマンスとセットで語られることが多い。

 が、そのせいでイロモノ扱いしてしまうのはあまりにも勿体ない。

 

 豪快な演奏のベースにあるのは、指1本でも拳でも正確に弾き切ってみせてなお余りあるその打鍵技術。

 そして何よりエンリケが僕を惹きつけるのは、ソロを通して聴いたときに、その打撃が、当然そうでなければいけなかったように――この部分は拳をつくって殴ることこそが唯一の正解であったように納得させられる音選びのセンスである。

  『The Prodigious Piano of Bobby Enriquez』収録の「Hi-Fly」には、そういうエンリケの魅力が十二分に詰まっている。

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